2013年6月18日火曜日

第14回JSSBのお知らせ

次回の第14回JSSBは6月18日(火)です。今回は小幡先生と岩渕先生のお二方にセミナー発表をしていただく予定です。奮ってご参加ください!

会場:Rangos590



17:00-17:30 開場/ティータイム
17:30-18:00 セミナー発表1(小幡先生)
18:00-18:30 セミナー発表2(岩渕先生)

小幡 史子
Assistant Professor
University of Maryland School of Medicine, Department of Microbiology and Immunology

タイトル:
志賀毒素産生大腸菌感染症のマウスモデル解析

要旨:
志賀毒素産生大腸菌は集団感染や散発感染を起こす病原菌で、下痢を起こすだけでなく、重症例ではhemolytic uremic syndrome (HUS, 尿毒素症候群)やencephalopathy (脳症) を引き起こし、これらの重症例では致死率や後遺症発症の可能性が大幅に増加します。私の研究室では、マウスモデルを用いて、志賀毒素がどのようにHUS および脳症の発症に関係しているかを明らかにし、特異的な治療方法が存在していないこの感染症に対する薬の開発を長期目標に掲げています。今回はこの大腸菌の感染症に関する情報を私たちの研究成果を中心にお話します。

Kumiko Iwabuchi
Postdoctoral Fellow
Biology of Reprogramming, Institute for Stem Cell Research, MRC Centre for Regenerative Medicine

タイトル:
Somewhere, over the Waddinton’s hills

要旨:
動物の胚発生は受精卵に始まり、その経過とともに各々の細胞が特異的な機能を持った体細胞へと分化していきます。細胞系譜の決定により新しい機能を獲得することと引き換えに受精卵や初期胚が持っていた全能性・多能性は失われ、哺乳類の身体では一部の体性幹細胞を除いて別の種類の細胞を生み出すことはできなくなります。
この終末分化に至る細胞の運命を、C. H. Waddingtonは起伏に富んだ地形を下って行く一つのボールとして表現しました。しかし、一旦は麓まで転がり落ちたボールを頂上に向かって蹴り返すことができたとしたら、ボールはどこへ行くでしょうか?もと来た道を辿って同じ場所に戻るのでしょうか?はたまた蹴られるがままに無茶苦茶な道を辿ってあらぬ方向に行くでしょうか?
2006年に胚性幹細胞(ES細胞)をモデルとして創り出された人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells; iPS細胞)は、たった4つの転写因子を導入することで終末分化に至った体細胞をもう一度三胚葉系に分化できる未分化状態にまで戻したものです。とはいえ、その巻き戻し―初期化の効率はあまり高いものではなく、多能性に向かって蹴り返したはずのベクトルは目的地に向かうことなく様々な要素によってかき乱され、殆どは明後日の方向に行ってしまいます。
そもそも、体細胞の初期化というのはどのような現象か?体細胞が多能性を持つ細胞へと逆戻りするはずの過程で、実際にはどのような道筋を辿るのか?どの経路が近道か?厄介な起伏はどこにあるのか?これらを理解すべく、私はWaddingtonのランドスケープをさかさまに登るための地図の作成に従事してきました。
今回のショートトークでは、京都大学再生医科学研究所・iPS細胞研究所在学中より現所属であるエディンバラ大学MRC-CRMにまたがって行って来た研究の中から、1) 細胞表面抗原および内在性多能性幹細胞マーカーを用いた初期化経路の細分化、2) 細分化されたサブ細胞集団の網羅遺伝子発現解析・シングルセル遺伝子発現解析による評価、 3) マイルストーンとなる遺伝子発現のマッピング についてご紹介したいと思います。みなさまの忌憚のないご意見を心より楽しみにしております。

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